母親孝行。
さて、わが家では毎年2回お互いの母親に感謝の気持ちをこめて、食事会を開催している。
いつもは私の独断で行き先を決めることが多いが今回は希望を聞いてみることにした。
すると女房の母親が「うなぎ~」私の母親が「有名なとこ~なだ万希望~」ということだった。
というところまでは以前に書いて、女房の母親を食事に連れて行ったことも書いた。
今回は私の母親編ということで。
なんせこの人私の母親だ。
一筋縄ではいかない。
しかも今月は彼女の誕生日も控えている。
まさに傍若無人、無敵艦隊状態だ。
本日の最初の予定は昼間に実家の片付けだった。
なぜなら、私は結婚するときに実家にあった洋服やら書物やらをそのままにしているからなのだ。
いいかげん片付けろ、というのが母親の言い分だ。
そりゃそうだ。
私でも同じことを言うだろう。
むしろ私が結婚してから2年もよく耐えたと思う。
床なんかミシミシ言っちゃってるらしい。
どこまで本当かはわかんないけど。
予定としてはそれから夕方早めに新宿に到着し、まずは丸井でお買い物。
そして、三越で母親のお買い物。
その後、なだ万で食事。
というような予定を立てた。
でも、前日のうちにできることはやっちゃおう、ってわけで前日の夕方に丸井へ。
これは私と女房のクリスマスプレゼントを買うため。
うちは毎年同じようなものを贈りっこすることにしている。
今年はスポーツバッグだ。
それから、三越に行って母親の誕生日の買物だ。
「キタムラ」のハンドバッグを見てくるための下見だ。
買物は明日本人と来たときにすればいい。
前もって、母親に「誕生日になにが欲しい?」って聞いたら「う~ん、なんでもいいよ」。
だからなんでもいいが一番困るんだって。
そしたら「じゃあ、キタムラのハンドバッグ。礼装にも使えるヤツね」だって。
私はキタムラっていうメーカーもハンドバッグの相場もよくわかんないから「あいよ~」って2つ返事でOKしたのね。
どうせ弟と一緒にあげるんだしまあいいか、と。
そう思って念のためインターネットで調べてみたら…案外するのね。
まあどえらいアホなブランドほどはしないけどけっこうなお値段。
つーか最初から私が知ってるようなブランドのバッグは対象外。
前日のうちに三越を下見してそれらしいバッグがあることを確認し、ついでに丸井に行ってお互いのプレゼントを買った。
これで当日の予定が半分に減った。
余裕のスケジュールが組める。
ここまでやって母親に当日の予定をメールした。
母親からは「早めに片付けに着てね」、という返事が来た。
ところがだ。
今日。
起きたら10時半だった。
あらま、大きく予定をオーバー。
しかも起きたのは母親からの電話だった。
出てみると「まだ寝てんの!なにやってんの!あーそうそう、ワタシね、修理に出してた指輪とネックレス出来たって言ってアダンから電話かかってきたから!お店で待ち合わせね!ちなみにケータイ忘れたから連絡は出来ないから!すぐお店に向かってね!じゃ!」
…連絡できないならお前はどっから連絡しとんのじゃ。
あ、自宅か。
ちなみにアダンというのはうちの近所にある宝飾屋さんで修理やリペアなんかもやってくれるお店。
うちの女房がお店の人と仲良しでいろいろとやってくれるのだ。
そこに母親が持っているものを修理に出したってことは聞いていた。
それから、自宅を出てアダンに向かうともうすでに母親はお店に着いていた。
修理したものを受け取った後らしく、その後新しく持ってきた指輪をどうにかしてもらうことを話しているようだ。
よくよく聞いてみると、自分は金が好きだから今持っているプラチナの指輪を金メッキしてくれ、と言っているのだ。
私は思わず言った。
「お前アホか?どこの世界に金メダルの上に銀メッキするバカがいるんだよ!」
母親は「そうかな~」と言っているが…私がおかしいのか?
さすがにコレは必死で止めた。
止めないと本当にやりかねない。
さて、じゃあ次に行くか、と思ったら母親が「ねえねえ!」と女房を呼んでいる。
「これさぁ」と言っていろんな宝石を見て回っている。
それから1時間だぜ!
私も買物が好きだが女ってのはどうしてこうも見るだけでなんだかんだ言って楽しいもんなのかね?
好きなもん見てるときは楽しいもんだけどさ。
でも、この嫁姑が仲良くしててくれるのが勿怪の幸いである。
これでこの2人が仲悪かったらもう最悪である。
この2人は私抜きで遊びに行っちゃうくらい仲良しなので、まあこれはこれでいい。
この2人がうまく行っているのは偏に私のおかげだと心の中で勝手に思っている。
それより、おめーら実家の中片付ける気ねーだろ。
あんなに片付けろって言ったのは母親なのに。
私はその間お店の人にお茶をもらって飲んでいる。
そうこうして、お店の人に4杯目のお茶をもらったところで母親が「あ、お兄ちゃんさぁ、新宿のキタムラで買物するって言ってたけど、このバッグ新宿にはないのよ。だから本店に行かなきゃ。」
本店?本店って…横浜かよ。
夜は新宿なんだぜ。
遠くねーか?
「あ、それからね、アンパンマンのブーツ知ってる?それね売ってるとこ知ってる?あーちゃんのクリスマスプレゼントにするの。」
あーちゃんとは、わが家のアイドルで弟んちの娘で、私の姪っ子で、母親の孫だ。
「あとね、お昼モス食べたい。それから、ペリカン便取りに行きたいから用賀に回って。あとね、ユニクロも行きたいんだ。あ、そうだ、やっぱりいったん家に戻って、コンタクト忘れたから。」
…コレを聞いてたときにはなんとも思わなかったけど、いま考えたらメチャクチャ用足し&アッシー(死語)じゃねーか。
私ってエラいなぁ。
「んじゃー片付けは明日でいいね。」と言うと、「そうだね明日早くからね。」だって。
「そんで今日は食事した後なんか予定あんの?」。
ないって答えると「じゃあ、帰りにあーちゃんに会いに行こう!」
…はい。もうお好きなように。
ではとりあえず実家に戻るということでよろしいでしょうか?
とりあえず実家に戻りがてらモスバーガーによってお昼を購入。
実家に到着すると母親が自宅へ。
戻ってきて、「やっぱ、ペリカン便いいわ、明日の午前中に持ってきてもらうことにしたから」だって。
どう、ワタシってえらいでしょ?ラクになったでしょ?と言って欲しそうな感じだ。
ハイハイ、えらいえらい。
「それからあーちゃんにあげるブーツだけどホントのブーツじゃないわよ。」
分かるって。
お菓子が入ってるヤツね。
「どこに売ってるか知ってる?」
ハッキリ言おう。知らん。
でも確実に売ってるところはひとつだけ心当たりがある。
それは、汐留の日テレだ。
あそこにはアンパンマンショップがあるので確実にあるだろう。
てことは今日はこれから横浜に行って、汐留に行って、それから新宿に行って、それから東武練馬に行くのね。なんてハードな…。
さて、第三京浜に乗って大混雑の横浜や桜木町を抜け、元町に到着。
人はたくさんいたが、奇跡的に駐車場は混んでなくてすんなり駐めることができた。
元町の通りに出てすぐ、最初に私が店に捕まった。
TyStoreというぬいぐるみ屋さんだ。
実は私は男のクセにここのぬいぐるみが大好きなのだ。
ここにはお祈りをしている動物のぬいぐるみがあって、それが好きで元町に行ったときは新作が出ていないかと必ずのぞいている。
結果、大きめのお祈りしているウサギと、お祈りしている天使の羽根が生えたクマ、小さめのお祈りしているイヌを購入。
ついでに姪っ子のクリスマスプレゼント用にサンタのクマを購入。
そんで帰ろうかと思ったら横っちょに、「お見舞いクマさん」ていうのが売っていた。
足のところに「Good Will Soon!」(早く良くなってね!)と書いてある。
これは入院している殿様(祖父)用に購入。
ここだけで8千円。あらま。
次に目的地であるキタムラへ。
母親は一目散に目的である売り場に直行!
…は、早い。
そして、欲しいハンドバッグの前のショーケースに張り付いて動かない。
お前はアメリカのトランペットが欲しい子どもか!
まあ、決まっているなら話は早い。
さっそくそのバッグを購入。
これは誕生日まで預かっておく。
実は母親には姉(私にとってはオバ)が2人いるのだが、次姉が9日、母親が22日、長姉が翌月の1日と3人がほぼ連続して誕生日を迎える。
しかも3人年子である。
すごいだろ。
そんなことで、オバ2人のプレゼントも購入し次の目的地へ…。
と思ったら!
いつの間にかいなくなっていた女房がどこからかタタタっと走ってきて「ハハ!(女房は私の母親をこう呼ぶ)新作出てます!」。
母親もダッシュ!
は、早い…。
そう、キタムラのはす向かいにお二人のお好きなブランド4℃があったのだ。
まさか、買わないよね~?
この2人(もちろん母親と女房)の共通の性格で共通しているのは、「出すとこは出すけど基本的にはケチ」なので買いはしない。
欲しいモノがなければ。(当たり前か。)
つーワケで冷やかしだけで次の店へ。
店の外に出て、やっと次へと思ったら母親が「ケータイに付けるストラップってどこにあるかしらねぇ?」と聞いたら女房が「4℃にあるんじゃないですか?」と言ってお店に逆戻り。
最初に思い出せ!
しかもお店にはなかったのでやっぱり買わずに出てきた。
ねえ、もう行こうよ。
今日は予定いっぱいだよ。
と思ってたら、今度はゴディバを発見。
女房が「ここのアイスって美味しいんだよね~」と言う。
当たり前だ。
ここのアイスはこ~んなちっちゃくて1200円もするんだから。
それを聞いたとたん、母親は猛ダッシュ。
振り返ったらすでにそこにはいなくて、すでにゴディバの店内へ。
は、早い…。
しかも買っているのはチョコレート。
さっきの会話は…。
「なぁ、ゴディバのチョコレートなんて高級品どうすんだよ?」って聞いたら「あーちゃんの。」
出ました!ばあさん!
孫のためなら独走態勢!だれも追いつけません!
そんで、やっと次の目的地である汐留の日テレタワーへ。
行ったことがないので迷うかと思ったら新橋からすぐ近くで、分かりやすかった。
ここもクリスマスモードで大騒ぎ。
アンパンマンショップを見つけてクリスマス用のブーツを購入。
と思ったら母親の手にはレトルトカレーやらアンパンマンの形のふりかけやら…。
「あーちゃんの。」
もうなにも言いませんわ。
それで、や………っと目的地の新宿に到着。
予約した時間通りでよかった。
これも私の完璧なスケジューリングのおかげですな。
さて、「なだ万」である。
場所は小田急百貨店の14階。
窓からは新宿の夜景が一望できる。
こんなところにこんなにキレイに夜景が見れる場所があるなんて知らなかった。
当たり前である。
こんなところ普段から来れるわけがない。
今回は懐石なので、少しずついろんなものが出てくる。
どれも、お上品で美味しい。
和食の基本であるダシがしっかり取ってあるのはさすがだと思ったね。
しかも、味をしっかりと主張したいものはすべてダシは2回取ってある。
つまり、1回ダシを取ったダシ汁で、別の新しい鰹節から2回目のダシを取るのだ。
そりゃあ美味いワケだ。
値段も美味しいけどね。
そして、懐石なので最後のほうにご飯が出てくる。
釜炊きのご飯が釜ごと出てくる。
中身は金時豆が入っている、黒米の混ざったご飯だ。
ほんのり塩味がついていて美味しい。
女房と母親は1膳ずつしか食べないので残りの3膳を受け持った。
懐石なので量が足りないかな~と思ったらとんでもない!
ハッキリ言って腹がパンクしそうだ!
なんでだ?
と思ってよくよく今食べているご飯を見てみると…どうも、これは餅米のようだ。
そりゃあ、腹にも溜まるわ。
今回は一番安いコースだったけど、充分堪能できたよ。
我々のような素人は、「コレが一番高いコースだ」、と言われれば「あーそうですか」って食っちゃうだろう。
要は、気持ちである。
それから弟のうちへ。
到着したとたん、姪っ子が弟に怒られている。
なんでか聞いてみたら、白いホットカーペットのカバーに落書きしちゃったのだそうだ。
しかも油性のポールペン。
「どこに?」って聞いたら「あーちゃんが座ってる下。」と弟。
みんなで「どれ、あーちゃん、見せてごらん。」て言ってもガンとしてどかない。
母親がどかしてみたら、まあ見事なアートが…。
みんなで、「あーあ。」って言ったらそのとたん、「あ”~!!!」って姪っ子が突っ伏して泣き出した。
その場でうずくまって大泣き。
言うなれば「だからどかなかったのに~!」って感じだ。
まだ2歳にもならないけどそういうことは分かるんだね。
その様子のかわいいこと!
思わず私が抱き上げて、「今のはみんなひどいよな~、だましたもんな~、でもあーちゃんは落書きしたのはごめんなさいしたもんな~、もうあーちゃんは悪くないよな~」ってあやしたけど泣き止みゃしない。
ちなみに、この日あーちゃんをどかした母親の株は急落。
買って来たカレーもふりかけも功を奏しなかった。
ちなみにぬいぐるみとブーツはクリスマスまでお預け。
それから弟が姪っ子をお風呂に入れて出てくるのを待ってから姪っ子のケアを習う。
この子はアレルギーと喘息があってお風呂上りには軟膏を塗ったり湿布を張ったりしなきゃいけない。
今度うちに泊まりに来るので熱心に聞き入る。
私の子どもの頃はアレルギーの子どものほうが珍しかったが、今の子は多くの子がアレルギーで、うちの姪っ子は極めて軽いほうだという。
弟は病院勤めだから言うことには間違いがない。
今の子は本当にかわいそうだと思う。
走り回れる空き地もなければ、外で遊んでいると犯罪被害に遭い、食べ物は添加物だらけ。
生まれたときからそうなのだ。
これでまともに育つわけがない。
特に都会の子どもは。
全部聞いて覚えたあと、弟の家を出て、母親を実家まで送り届けて帰宅。
いやぁ、まあ楽しくて美味しかったけど、ハードな一日だった。
しかも財布も痛い一日だった。
…ここまで書いて現在午前3時。
明日は、絶対に早起きは出来ない。
母親をどうなだめようか…。
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