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2006年5月 2日 (火)

切ない帰還兵。

先日、樺太に出兵して、終戦後65年ぶりに日本に帰ってきた男性の話をニュースが報じていた。
うちの死んだばあちゃんは樺太の生まれだったから会ってるかもね。
そう思うと他人とは思えなかった。
本人は日本語を忘れちゃったのか、ロシア語で話していた。
意図的に日本語を忘れるようにしてたのかもね。

でも、この人には出兵時、結婚を約束した女性がいたんだって。
その女性はすでに認知症になっているんだけど、男性の名前を聞いたとたん「あの人は死んだんです、あの人は死んだんです…。」って繰り返したんだって。
さらに、生きていて帰ってきたと聞いたら、「いまさら帰ってこられても私にはどうすることもできない…。」と。
この人完全に認知症なんだよ。
年寄りは昔のことはよく覚えているっていうけど、認知症の人はそんなことは少ないのが普通。
でも、これだけはっきり甦るって事は、生涯心の中でいろんな事を思いつづけてたんだろうね。

…切ないよねぇ。
事実は小説より奇なり。
どんなに高尚な恋愛小説でも裸足で逃げていく。

お互いに別の人と結婚したらしいんだけど、行方知れずの恋人を待つ気持ちってどんなだろ?
いっそのこと死んだって聞かされるほうがよっぽど楽だったんじゃないだろうか。
その人とは別の人と結婚する気持ちはもう計り知れない。
その人が帰ってくるかもしれない。
帰ってきたら…帰ってきても自分の人生には、これからできる自分の家族には取り返しがつかない…。

それ以前に戦地に送り出さなきゃならない。
自分の愛する人が死にに行かなきゃならないのはどんな気がするだろう。
それが当たり前の世の中だとしたら…。
私は、今までこんな過酷な経験したことはない。

前にラジオでこんなことをやっていた。
「戦時中は戦争戦争で恋愛なんかしている場合じゃなかったんじゃないですか?」
答えは、「今の若い人と変わらず恋愛してた。」だった。
よく考えたら当たり前だ。
戦争中だって人間は人間であって、本質が変わるわけではない。
戦争時代の青春真っ只中だった人たちはそれこそ「当たり前だ!」って言うだろうけど、そんなことがわからなくなっちゃうほど戦争は過去のものになりつつあるのだ。
それが私も含めた今の若い人なのだ。

よくこんな昔の恋愛の話を聞くと「おじいちゃんの話は」、「おばあちゃんの話は」って昔話で片付けちゃうけど、おじいちゃんは昔からおじいちゃんじゃないし、おばあちゃんだって然りだ。

それを考えると今の当たり前の平和には感謝しなくてはならない。
戦争で人生が変わっちゃった人っていっぱいいると思う。
柄にもなく思わぬ形で平和のありがたみを感じた出来事だった。

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コメント

こんばんは~。
本当にくーみんさんのおっしゃる通りですね。平和慣れしている現代は、何かを忘れてしまっているのかもしれませんね。私も親父に戦争の話しを聞いた事があります。

投稿: eimeis | 2006年5月 2日 (火) 20:31

平和は状態、永遠には続かないと思います。

願わくはおいらが死ぬまで平和であって欲しいし、贅沢いえば、子供たちにも平和の状態が続いてほしいです。

さきの平和のためにはいまやってる憲法改正をしっかり見守っていかねば…なんて柄にもなく思いますた。

投稿: くろ | 2006年5月 2日 (火) 21:27

eimeisさん。
平和慣れ。
人によっては平和ボケ何ていう人もいるけど、平和にボケられている世の中って実は幸せなような気がします。
幸せって、幸せの中にいると気づかないもんなんですよね。
努力した人が本当に報われる、抱いた夢が叶えられる、そんな平和な世の中が続くといいですね。

くろさん。
「平和は状態」。
考えさせられる言葉ですね。
ということはこの状態を保つことも人間の努力次第でできるってことですね。
憲法改正も、本当の平和のためにきちんと働くように考えて欲しいモノです。

投稿: くうみん@管理人 | 2006年5月 4日 (木) 12:36

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