金曜日。
前日までの出張でクタクタだったので休暇を取った。
どうせいいのだ。
今年になってから、1日も休んでないし、休暇は取るためにあるのだ。
そんで、女房を送り出して、朝食の洗い物でもしようかと思ったら電話が鳴った。
母親からだった。
「あーちゃんが自転車に跳ね飛ばされて、頭打ったんだって!いまママと一緒にタクシーで練高(練馬高野台)の順天堂病院に向かってるらしいんだけど、アタシ今日人がいなくて休めないのよ。なんかあったらアンタんとこに電話させるからヨロシクね。」
なんですとぉ!
あーちゃんとはこのブログに何度も登場している姪っ子のことだ。
弟の娘だ。
しかし、なんて都合のいい日に事故るんだろうな。
休みでよかった。
でも、病院に向かったほうがいいよな、と思い取るものも取り合えず家を飛び出そうと思ったその時、また電話が。
母親からだった。
「今日はパパがいなくてママだけなんだって。病院に行ってあげてくれる?んで、なんかあったら電話ちょうだい。」
言われなくても今から出るところだい。
病院に向かいながら「あーちゃんは大丈夫なのか?」という心配とともに、「相手はいるのか?病院に来てるのか?揉めてるのか?私はどう対応すればいい?」といろんなことが頭の中をグルグル…。
しばらくして病院に到着。
できたばかりの病院なのでとってもキレイ。
でもそこでハタと気がついた。
どこにいるんだろう?
何科にかかってるんだろう?
それらしい科はと…。
外科、脳神経外科、小児科、小児外科…。
げ!外科だけに「げ」!
こんなにあるのかよ、さすが大学病院。
しかも順天堂は設備が充実していることでも有名だ。
見たことのない科もたくさんある。
こりゃあ、受付ででも聞かなきゃダメだな。
そう思って総合受付とやらで聞いてみた。
2歳の子どもが転んで頭を打って受診してるらしいんですけどかかる可能性のある科はどこですか?
そう言えば、いくつかの科を教えてくれるはずなので、そこの窓口で聞いて回ろうかと思った。
普通そうじゃん。
今までの病院てそうだったじゃん。
ところがだ。
受付のお姉さんが「お名前と生年月日を教えてください。」とおっしゃる。
えっと…昭和49年7月25日…あ、私じゃない?
だって、メガネ美人でちょっとタイプだったんだもん。
おい、そんなこと言ってる場合じゃないだろう。
あーちゃん、あーちゃん…と。
平成…平成なん年生まれ?
こないだの1月で2歳になったんだから平成18年から2年引けばいいんだよな。
えー、平成16年1月27日生まれだと思いますが…。
すると、お姉さんこう答えた。
「はい、確かにいらっしゃってますね。10時18分に診察が終わってますので、もう会計にいるかと思いますが。外科ですね。」
おおお!
そんなことまで分かっちゃうんですか!!
今の病院はすごいなぁ、と素直に感心。
でも、もう診察が終わってるってことは大したケガじゃないんだな、とちょっと安心。
外科ですね、分かりました。
で、外科ってどこですか?
外科を「がいか」って読む人はいませんか?
どーでもいいって。
会計にいるかもしれませんね。
すると、受付のお姉さんが会計まで案内してくれた。
といっても目の前だったんだけどさ。
「自転車で頭を打っちゃったんですね、心配ですね。」
心配です…って自転車って私、ひとことも言ってない。
そんなことまで分かるのね。
カルテが電子化されてるのね、すばらしい。
確かに個人情報は心配だけど、遠くに離れているところに情報を一瞬で送れるのは便利だし、人命に関わるような一刻を争う場合は役に立つ。
特にレントゲンなんかはいいんじゃないかな。
で、お姉さん会計まで来て言った。
「いませんかねぇ。呼び出してみましょうか?」
放送入れてくれるんですか?
どうもご親切に。
そうですね、お願いします。
その直後、その場で「あーちゃーん!」(←もちろん姪っ子のフルネームだったけど)と大声で呼んでくれましたよ。
ちょいビックリ。
でもいない。
それから会計の隣にある外科に行ってみたら…。
うわ!
そこには座りきれないぐらいの人でビッシリ!
できたばっかりなのにこの盛況ぶりはどうだろう。
ちなみに、そこでもお姉さんは同じく叫んでくれた。
申し訳ないぐらいだ。
でもいない。
これ以上お姉さんの手を煩わせるのも申し訳ないので、この辺にいるんですよね?探してみます、と仕事に復帰願った。
外科の外待合にはいない。
中待合も探してみたけどいない。
念のため隣の科の中待合も見てみたけどいない。
さすがに2歳児がリウマチ科には行かないな。
ここは痛風外来も併設なので、行くのはどっちかって言うと私だ。
こりゃあ、トイレにでも行ってるんだろう。
そう思って向かうと、果たしてその通りで、入口が開いて私に気がついたあーちゃんが「にいにい!!」と走ってきた。
あーちゃんママは「あれ?お兄ちゃん、どうしてここに?」と不思議な顔。
久しぶりに「鳩が豆鉄砲食らった顔」を見たよ。
ふっふっふっ、にいにはねあーちゃんのことなら何でも知ってるんだよ。
しかし、思いっきり元気じゃねーか。
どうしたのか聞いてみると「自転車同士でぶつかって、よろけてタイヤがすぺっちゃって支えてんだけどあーちゃんが転んだ」んだそうだ。
全然違うじゃねーか!オフクロ!
自転車同士ならよくあるし、向こうの責任だけを責められないわな。
それに、あーちゃんコブもないし、本人は痛くないって言ってるし。
診察だけ?
「ううん、CT撮りましたよ。技師さんが『お子さんは多分泣くと思いますけど…。』って言ってたんですけどキャッキャ言って喜んでたらしいです。脳ミソはたっぷり詰まってるって。」
そうかそうか、よかったな。
脳ミソは詰まってるか。
…ちゃんと使えよ。
じゃあ、ママは仕事に戻るかい?
「そうですねぇ、できれば…。」
あーちゃん、ママお仕事に行きたいって。
にいにと一緒に遊ぼうか?
ブルンブルン。
力強く首を横に振って否定された。
最近私の株は暴落しっぱなしだ。
女房がこの場にいたら確実に上場廃止だ。
じゃあ、保育園に戻る?
ブルンブルン。
これも強く否定。
大丈夫だよ、本気で保育園に連れてこうなんて思ってないから。
まあ、そうね。
今日はあーちゃんもビックリしたことだし、ママと一緒にいた方がいいかもね。
それに、ママも保険証を持ってこなかったから実費で払っちゃった分を取り返しに来なきゃいけないし、足があったほうがいいだろう、オレ今日休みだから付き合うよ、あーちゃんと一緒にいれるし、ってことになった。
しかし、ここで慌てん坊がひとり。
電話でこう言う。
「上司に話してね、仕事引き上げてきたの!今そっち向かってるから!」
もちろん、ばあば。
…いま電話しようと思ってたのに。
本人ピンピンしてるよ。
でも来るらしい。
しばらくして母親が到着。
ちょうど昼だったし、腹も減ったからみんなで食事。
私の胃袋は銚子丸の回転寿司しか受け付けません、状態だったのでお寿司を食べた。
あーちゃんも元気にパクパク。
こんだけ食えりゃ大丈夫だ。
一応48時間は様子見なきゃダメだけどね。
あーちゃんのマイブームは「ねぇねぇ、みんな聞いて」である。
これを私と母親がいるところでずっと言っていた。
なんとなくお姉さんぽい響きがお気に入りなんだと思う。
でも、母親が「みんなじゃなくてばあばとにいにでしょ?」って言ったらそれからは、「ねぇねぇ、おばあちゃんとにいに聞いて。」になった。
あーちゃんは最近母親のことをちゃんと「おばあちゃん」と呼ぶようになった。
でも、「ばあば」はちょっと可愛げがあるけど「おばあちゃん」だとモロにおばあちゃんだな。
最初母親は名前で呼ばせたかったらしいんだけど、それは私が渾身の力を込めて阻止した。
冗談じゃない。
気持ち悪い。
大ママとかって言うのもナシだ。
「おばあちゃん」は「おばあちゃん」だ。
そうそう、最近、あーちゃんはこのブログに私の写真が載っていると「にいに見るの!」と独占してくれてるらしい。
そのフレンドシップを私の前で直接披露してもらえないだろうか。
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