北塩原のまちをゆく。
五色沼は、福島県耶麻郡北塩原村というところにあります。
このあたりは磐梯山の裏側なので「裏磐梯」と呼ばれています。
裏、といっても「裏メニュー」とか「裏工作」っていういわゆる海賊版とかっていう意味ではありません。
なので「裏磐梯公式ホームページ」なんていう不思議な名前のものもあったりするわけです。
さて、柳沼で一通りの散策を終えたわれわれ夫婦。
雨も結構強くなってきました。
行き当たりばったりで旅行に行くような困ったちゃんな夫婦なので傘なんぞ持ってるわけがありません。
ううむ。
でも、一縷の望みが。
それは、沼の至る所にあった地図にバス停が書いてあったこと。
もしバスがあれば、これで戻ることができます。
レストハウスに到着しました。
ちょっと冷え込んでいるせいかおなかの調子が…。
そこでトイレに行きビッグオペレーション。
大自然の中では心なしかニオイも違う気がします。
さて、スッキリして出てきたワタクシ。
よっしゃ、バスに乗ろうぜ。
「…おとうちゃん、バスは41分。」
ん?
時計を見ると…。
げ、45分。
「バス様は先ほど出られましたわよ。」
げげげ。
そうすると…次のバスは…。
あそこに時刻表が見えますが、なんだか数字の列の幅が少ないような…。
1時間に1本程度しかないような気が…。
時計を見ながら女房が「次のバスは1時間11分後」。
…のようですね。
外を見ると、立派なログハウスが。
そしてそこには「磐梯高原駅」の文字が。
この駅名、地図にも書いてあって「磐梯高原駅?聞いたことないなぁ?磐越西線にそんな駅あったっけ?磐梯高原駅ゆきのバスの発着所なのかなぁ…」と気になってたんですよね。
どうやらバス停の待合所のようです。
バスの発券所もあるみたい。
隣にはこんなバスが。
名づけて、「森のくまさんバス」。
「桧原湖周遊」だって。
ちなみに東京では桧原は「ひのはら」と読みますが、こちらでは「ひばら」と読みます。
桧原湖は五色沼とは道を隔てた反対側だけど、これなら途中まで行けるかもよ、と思ってバス停に行ってみるとビンゴ。
どうやら車を停めた駐車場の近くまで行ってくれるようです。
ちなみに、東京では東都自動車というとタクシーや貸切バスのイメージですが、こちらでは路線バス事業も行っています。
方向幕のある東都自動車のバスは東京の人間には違和感ありますね。
ちなみにこの「森のくまさんバス」も磐梯東都自動車が運行しています。
主体は北塩原村のようですが。
環境にやさしいバス、ということでなにがやさしいのかというと、昨今話題になっているバイオディーゼルを使って走っているのだそうです。
そして、ボンネットバス。
最近では、話題性を狙ってボンネットバスをわざわざ作ることもあります。
これもそうかと思いきや、さにあらず。
昭和42年製の本物のボンネットバスです。
車掌さんが乗り込みます。
なのでドアは中ドア一枚で手動。
車内ブザーはなし。
チェンジレバーは床から直立の棒タイプ。
すべてが本物。
最高です。
昭和42年製というとボンネットバスではかなり最終時期に作られたと思われます。
そんで走り心地はというとこれが最悪。
まあ、揺れるしね。
たぶん板バネなんでしょうね。
サスペンションはあんまり効きません。
座席もへたって硬くなっています。
本当の本物です。
トトロの世界です。
しかも運行は4月28日から。
つまり今日からだったのです。
ハッキリ言ってこのバスは最高でした。
乗り物マニアとしては素晴らしい体験をさせてもらいました。
東京でもボンネットバスは乗れるんですよ。
だけど、それはイベントの中でであって、現代の街並みを走っても作られた体験でしかないわけです。
いや、五日市とかあっちは除いてね。
でも、ここは自然にあふれた「田舎」なのです。
本当にトトロの世界にタイムスリップしたような気分でした。
さて、バスは残雪の多い桧原湖沿いを進みます。
途中でこんな光景が。
これは駐在所と消防署なんですが、ここでは景観を重視して周りの景色になじむ茶色で統一しているそうです。
よくいえばマルーンカラー。
悪くいえば醤油色。
でも、自然とマッチしていてなかなか素敵です。
しかし、これだけで済まないのが北塩原のすごいところ。
とりあえず、ヤマザキデイリーとエネオスは茶色です。
ならばと出光も茶色です。
一部は赤ですが。
セブンイレブンまで茶色なんだからまいっちゃいます。
そして思いきっちゃったのが郵便局。
ポストから看板から建物まで全部茶色にしちゃいました。
これじゃあ、初めて来た人は郵便局だってわかんないような、と心配になります。
そしてとどめはこちら。
一方通行出口だって茶色いんです。
さすがにこれは私設だと思いますけどね。
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