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2007年9月22日 (土)

イクちゃんの思い出

高校の同級生にイクちゃんて子がいたの。
1年生のとき同じクラスになってさ。
イクちゃんはいわゆる「いい子」じゃなかった。
明らかに学校の雰囲気とは違う「浮いた」感じのする子だった。
でも、あたしも友だちいなかったじゃん。
なんでかイクちゃんとはヘンにウマが合ってさ。

あれは、なんで仲良くなったんだったかな?
そうだ、徳永英明の話になったんだ。
イクちゃんがけっこう好きだって言うから嬉しくなっちゃって。
自分の好きなものをほかの人も好きって言ってくれるのって嬉しいよね。
そんで、ダブってた徳永英明のCDあげたんだよ。
そしたらすごく喜んでくれて仲良くなったんだ。

ある日、アタシが「徳永英明のコンサート行きたいんだけどひとりじゃねぇ。」って言ったら「じゃあ、私一緒に行ってあげるよ」って言ってくれてさ。
一緒に行ったんだ。

イクちゃんはタバコとか吸ってた。
でも、アタシは別に何とも思わなかったし、だからイクちゃんが悪い子だなんて思わなかった。
イクちゃんは「アンタは吸っちゃだめだよ」なんて笑いながら言ってた。

そんな日がしばらく続いてあたしたちは2年生になった。
イクちゃんとはクラスが別れてちょっとだけ疎遠になった。
久しぶりに遊ぼうと思ってイクちゃんのクラスに行ってみた。
…そこにイクちゃんはいなかった。
あたしと会わなかったちょっとの間に学校をやめていた。

周りの人に聞いてもだれも理由を知らなかった。
あたしはショックだった。
なんの相談もしてくれなかったことが悲しかった。
周りの人がイクちゃんのことにまったく関心がないのが悲しかった。
やるせなくてやりきれない気持ちでいっぱいだった。
イクちゃんのことをわかってあげられる人がいなかったんだと思う。
そしてなによりも、あたしがイクちゃんのためになにもしてあげられなかったことがたまらなく悲しかった。

あれから月日が経って、私は「女子高生」から世間的に「大人」って言われる歳になった。
いまでも徳永英明は大好きでしょっちゅう聞いている。
そのたびにイクちゃんはなにしてるかな、元気かな、と彼女のことを思い出す。
どうかホントのイクちゃんを見つけてくれる人と出会って幸せになっていてほしい。
私もイクちゃんに「私は幸せだよ、そこそこ。」って伝えてあげたい。

実はこの話、先日女房に聞いた話なのです。
女房とは彼女が高校生の時からつきあっていますが、こんな話は初めて聞きました。
私とつきあい出すちょっと前の話のようです。
私は女房の高校時代は地味でサラッとすごしていたと思っていたのですがこんな熱い経験もしていたのか、と驚いて記事にしてみました。

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