お斎ってなんぞや?
女房のおばあちゃんの一周忌で信州に来ています。
この地方では、葬式や法事でのお清めのことを「お斎(おとき)」と言います。
私は去年のおばあちゃんの葬式で、この言葉を初めて聞きました。
お斎には「亭主役」という進行役がいて、その人が進行の一切を取り仕切ります。
今回の亭主役は、去年の葬式に引き続いてイトコのノブくん。
どうも亭主役は親族の男子がやるものらしいんですが、おじいちゃんや親父さんは身内が近すぎてできないし、それ以外は女だし、私にやらせるにしたって勝手がまったくわかりませんからノブくんが引き受けるしかないようで、「ま、オレしかいないから」と自分でも言ってました。
私より年下なのに。
エラいなぁ、ノブくんは。
今回は実家が新築したこともあり、落成の記念も兼ねています。
なんで、こんな時期に新築かって?
おととし(だっけ?)の地震で、何の冗談かこのうちだけ震度6強の被害をまともに受けたからです。
周りの家(っていっても軽く500メートルは離れてるけど)は何ともなかったのに、うちだけピンポイントで震度6強だったのです。
会が進むにつれて、参加者のエライ人が、「亭主役さんと喪主さんに盃を返したく…」と言い始めました。
これは参加者が、亭主役と喪主をねぎらい、盃を持って行って相手に持たせてお酌することです。
それに対して、亭主役はお礼を言います。
そのうち「おさかなを差し上げたく…」なんて始まったから『魚?なんで魚?』と思っていたら、参加者のこれまたエライ人が詩吟をうなり始めました。
これは新築祝いの方のイベントみたいです。
お魚で思い出しましたが、海のない県とはいえ長野県でもこういう機会にはお刺身が出たりします。
私はクルマなのでもちろん飲めないので、お刺身を取っておいて後で出てくるであろうご飯に備えておきましたが、ご飯は一向に出てくる気配がありません。
聞いてみると「ご飯は出ませんがおそばが出ます」とのこと。
さすがは長野県。
そのうち、「おつもりで…」って来たので、またなんか始まるのかと思ったら、「おつもり」というのは「おひらき」のことです。
ここでも盃でお酌をします。
なんだか今日はお酌だらけだったような…。
ちなみに、今日は法事だったのでしませんでしたが、長野県では飲み会の締めに万歳三唱をやります。
最初にこれを見た時に「なにに万歳???」と思いましたが、そういうもんなんだそうです。
東京でいうところの手締めみたいなもんですね。
手締めもどうやら東京だけの風習らしく、以前にほかの地域に行って話したところ「手締めってなあに?」って聞かれて逆にこっちが驚いたことがあります。
そうそう、法事といえば引き出物が出ますが、その中に「御黒飯」というのがありました。
…初めて見ました、黒飯。
女房にそう言ったら「じゃあ、お葬式のときはどうすんのよ!お赤飯?」だって。
いや、そもそもお返しにご飯は入ってません。
中を開けたら、ホントに黒飯て黒いんですね。
ちょっとビックリ。
でも、昔、「動物のお医者さん」という漫画で黒飯のことが出ていたので、北海道でもある風習らしいので、これは案外多いのかもしれません。
そのあと、父方の実家を出て、もう一度母方の実家に戻ったのですが、「そのやり方は北信流だよ」って教えてくれました。
いやぁ、葬儀の風習って一番地方色が出ますよね。
ホントに。
驚くことばかりです。
余談ですが、女房のお父さんに「くうみんは定年で退職したら農業やる気ない?」って半ば本気で聞かれました。
いやぁ土いじりは好きだし、興味もあるけれど親子4代軟弱な東京生まれだからねぇ…。
ま、あと25年考えさせてくださいな。
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