軽井沢の「BONANZA」に行って来ましたよ。
何ヶ月か前のこと。
女房が「面白いモノを見つけた」と話しかけてきた。
何かと思ったのだがそれは指輪だった。
インターネットで見つけたらしい。
写真を見てみるとかなり細い。
なんだかオモチャみたいだなぁ。
しかも…22金?
これじゃあフニャフニャだろ?
「でもね、ここにかなり丈夫で『変形した』とかそうゆう声はないって書いてあるよ」。
見てみると確かにホームページには自信満々にそう書いてある。
ほほう。
こりゃぁ確かに面白い。
しかも価格を見てみるとかなりのお得さだ。
ますます興味をひかれますな。
よろしい、取り寄せたまえ。
…ま、そんなことを言わなくても女房は勝手に取り寄せるんだけど。
いつの間にやら女房の母親にまで話が通っていて二人の分を頼むことにした。
しかしこうゆう話はどこかで筒抜けになるもの。
女房の妹の耳に入り、「なんでぇ。あたしもつけるぅ。三人で同じの着ければいいじゃぁん!」とご不満の様子。
妹は今年で30になるのだが、こうゆうところは初めて会った中学一年生のころから変わらない。
でももう注文しちゃったんじゃ…。
「追加で注文すりゃいいじゃん!」
そんじゃあ、妹の指輪を注文するか、という話になり、翌日まだ送られていないことを願って女房がお店に電話をしていた。
なんて迷惑な客だろうか?
そしたら翌日、今度は母親が「どうもサイズが合ってない気がする」と言い出した。
…おめーらなぁ。
また女房が電話をしていた。
なんて迷惑な客だろうか???
しばらくして指輪が届いた。
見てみると、確かに看板に偽りなし。
細いがかなりしっかりしている。
色は22金であることを証明するかのように濃い山吹色に輝いている。
母親の分はサイズはわからなかったので、女房が注文の時に「サイズがはっきりわからないのですが…」ととりあえずのサイズで注文したところ、なんと複数の異なるサイズの指輪が送られてきたではないか。
中には手紙が入っており「サイズをお試しいただき、合わない方をご返送ください」と書いてあり、しかも切手を貼った返信用の封筒まで入っているではないか。
浪花節が大好きな典型的日本人のワタクシ。
この世知辛い世の中にこんなに素晴らしい人がいるのかとすっかり感激してしまった。
これに応えないのでは男がすたる、と合わない方の指輪は私が引き取ることにした。
幸いにも私の小指にピッタリだったのでそこにつけることにした。
ゴツい手にキラリと輝くピンキーリング。
まさに日本の「漢(おとこ)」ここにあり、である。(←アホか。)
15号でピンキーリング、というのはナイショである。
これはどうしてもお店に出向いて直接お礼が言いたい。
場所は…。
は?軽井沢?
横浜の軽井沢じゃないよね?
信州の軽井沢?
別荘の多い?
近くないな…。
しかも、時はあたかも11月。
信州の中でもかなりの高地に入る軽井沢では雪が降り積む頃合いである。
うちの女房は信州は長野市の人間である。
女房と知り合って初めて正月に帰省した時に、真冬の長野にノーマルタイヤで挑むという、ガソリンをかぶって火をつけるのと等しい無茶な経験をして痛い目にあっている私は、それ以来冬の信州にはクルマで近づかない、と誓いを立てたのだ。
雪があるうちは行けない。
そんなことを考えていたらすぐに雪が降り始めて、なんの冗談か今年は全国的に近年稀に見る大雪に見舞われた。
こらぁ、雪解けまで待つしかないわね、と「森は生きている」の「継子のソーニャに雪の中に松雪草を採りに行かせる意地悪な継母」のような気持ちで春を待ちわびていたのである。
さて、信じられないかもしれないがここからが本篇である。
お店の名前は「BONANZA」。
地図を見たら旧軽井沢のド真ん中だ。
住所は「軽井沢町軽井沢1番地」。
なんてわかりやすいのだろう。
我が家でジュエリーショップといえばいつもお世話になっている三軒茶屋の「アダン」なのだが、今回は事情が事情なので、浮気をするような後ろめたさもあったにはあったのだが、取りあえず軽井沢に向かうことにした。
といっても今回も、最初からキッチリ計画を立てていたわけではなく「時間あるね」「どっか行く?」「どうする?」「じゃ、軽井沢行ってみる?」「おお、いいんじゃん?」といういつも通りのテキトウなノリで決まったものである。
お店にはホームページのほかにブログもあるのだが、そのブログで毎日お店の前を定点観測して写真を載せてくれている。
実はこうゆう日常を載せてくれるのが一番ありがたかったりするのだ。
何がありがたいって雪があるかないかが一目でわかる。
私も毎日の日常をブログにしたためているのだが、私の場合は毎日の恥の記録だ。
えへん。
東京は最高気温が20度を超え、先週の冷え込みがウソのようだ。
先週満開になった桜もこの冷え込みで散るのをためらっていたのだが、この陽気で見事な桜吹雪が舞っている。
これなら軽井沢も大丈夫だろう、とブログを見てみたら「雪のゆの字」もない。
よっしゃ!と関越道に乗るべく練馬を目指す。
普段は長野市まで帰っているのだが、今回は軽井沢町。
東京からは、長野に比べたら軽井沢は半分の距離だ。
エラく近い感じがする。
決して近くはないのだが…。
距離感を鈍らせる長野県のデカさが恐ろしいところだ。
お店には迷うことなく…、いや少し…、いやかなり道を間違え、もうすぐ小諸市に入りそうな所で気が付き引き返した。
軽井沢の中心まで行ったらさすがに迷うことはなく、女房とブログの写真で見慣れた風景を見つけ「ここだ!」と二人で声を揃えた。
お店をのぞいてみると、ご夫婦が話をしたり作業をしているのが見えた。
すぐにでもお店に入りたかったのだがここで問題が。
それはうちのムスメ、愛犬のピノコちゃん。
朝、オシッコをしたっきりしてないのだ。
なので、まかり間違って店内で粗相をしたら困るのでオシッコをさせるべくお店の前をウロウロしていたのだが、ほら、うちのムスメってセレブじゃん?(←バカ。)
「かるいざわみたいなおしゃれなまちでおしっこなんてできないちゃん!!」
外でしないのよ、オシッコ。
困っちゃうくらいしないの、ホント。
おかげで店の前を15分くらいウロウロ。
…怪しいっつーの。
ただでさえ、私はこないだ髪の毛を短く刈り込み、ところどころ白髪が見えている上に無精髭を生やし、さらにサングラスに白髪隠しのニットキャップをかぶっているので、チョイ悪オヤジどころか完全に不審者である。
しかし、あまりその自覚がない私はお店に突撃。
自己紹介をするとご夫婦は覚えていてくださって突然の来訪者に痛く感激してくださった。
私は以前のご厚情に感謝申し上げ、女房の母親がもう一つ指輪を欲しがっていることを告げた。
無事に指輪を受け取り、しばらく話しこんだ。
私たちはふだん通りの会話なのだが、ほかの人には面白いらしい。
ま、私の場合は魔女(私の母親)と話す時もこんな感じなんだけどね。
いつの間にやら女房は自分の指輪の話になり…あとはよく知らんの。
なぜなら、私はピノコのオシッコを促すべく陽の落ちた軽井沢町内を30分以上彷徨してたからである。
暗闇に真っ黒いイヌを連れた黒づくめのオトコ。
不審者には違いないのだが、それ以前に道路交通上たいへん危険である。
ずいぶん長居をさせてもらってしまって申し訳なかったのだが、帰途に就くことにした。
帰りはもちろん我が家お得意の「ケチケチ一般道の旅」である。
まずは難関、碓氷峠。
私は旧道にクルマを進めた。
「なんで旧道なんか来てんのよ!!」と女房。
だって、こないだお前さんが旧道が懐かしいって言うから…。
「だからって旧道から帰りたいなんて言ってないでしょ!ここは子どものころにクルマに酔ったあたしにとっては呪われた場所なのよ!だいたい旧道は183もカーブがあって…」
そこから先は聞いてなかった。
うっさい。
でも、カーブが183というのはズバリ正解だった。
恐るべし呪われた記憶。
なんとか碓氷越えを果たし、安中のセブンイレブンで高級おにぎりで豪華なディナータイム。
それから国道18号線、国道17号線、新大宮バイパスを経由して、戸田市の美女木から首都高速に乗って帰ってきた。
自宅までは4時間てとこだね。
美女木からは早かったよ~。
山手トンネルを通って20分ぐらいで三軒茶屋まで着いたんじゃないかな?
帰着は12時30分。
ま、そんなに遅くはなかったね。
そうそう、女房が帰りのクルマの中で言った一言。
「あたしが関わるとみんなビッグになるからね。BONANZAもビッグになるよ。」
ならば、お前さんの一番近くにいる私がビッグになれないのはなぜだ?…という疑問は当然湧いてきたのだが、ノドの手前でグッと押しとどめた。
これこそビッグになるための、夫が学んだカシコい方策である。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント