« ヤングチーム襲来!! | トップページ | 台風直撃の東京の長い一日。 »

2013年10月15日 (火)

ザ・江戸っ子!

こないだクルマ屋に行って待ってる間、ピノコと散歩をしていて回転寿司屋の前を通って思い出した。

寿司といえば「江戸前寿司」ってぐらいで、江戸っ子を連想させる。
もちろん、寿司の起源は「箱寿司」や「押し寿司」であって、それは関西のモノなのだが、寿司といえば握り寿司を連想する私としてはやはり江戸っ子を思い起こさせる。
江戸っ子気質といえば「見栄っ張り」と「やせガマン」。
なによりも「粋」を好み、当然正反対である「野暮」を嫌う。

よくお寿司屋さんに行くと、お勘定をする時にお通を気取って「おあいそして」なんて言うのを見かけるが、あれはどうなんだろうか?
あれは元々店員が「お客様、お楽しみの所、愛想のないことで恐縮なんですが…」とゆう所から発している、寿司屋の符牒、つまり隠語だ。

寿司屋には様々な符牒がある。
酢飯は「シャリ」、お茶は「あがり」、醤油は「むらさき」、わさびは「なみだ」などと言うことはよく知られている。
また、お寿司の端についている生姜の甘酢漬けの「ガリ」。
寿司屋の言葉としてはかなり一般化しているが、これも元々は食べると「ガリ」っと音がすることから来た言葉で、実は符牒である。
なので、客側としてはあれは「ショウガ」と言うのが正しい。

ちなみに、お寿司の間に挟まっている緑色の葉っぱのような形をしたビニールがある。
実は「バラン」と言うのだが、あれは商品名であって符牒ではない。

他にも寿司屋には、金額を確かめたりするのにお客さんにわかっちゃっちゃ野暮だってんで、数字にも符牒があったりする。
こんな感じ。
1=ピン、2=リャン、3=ゲタ、4=ダリ、5=メノ(ジ)、6=ロンジ、7=セイナン、8=バンド、9=キワ、10=ソク(ピンマル)。
実はこの先も11=ピンピン(ピンナラ)、12=チョンブリ…などと続くのだがキリがないのでやめておく。

つまりは勘定の計算をする時に「オヤジさん、白子は?」「メノジ〜。」なんて会話があるのである。
この時に「オヤジさん、サザエは?」「800円〜。」なんて言ってたらなんとも野暮ったい。

数字の符牒を見てわかるように、符牒とゆうのは店側がお客に食事を楽しんでもらうために、内部のつまらない会話の内容を客にわからないように仲間に伝えるために生まれた言葉である。
とゆうことは、客が使うべき言葉でない、と言えるだろう。
なぜならば、客はきちんと客としてその立場できちんと店を楽しむこと、つまりは「客の領分」を弁えないといけないからである。

ということは、お茶をもらう時に「あがりをください」、会計の時に「おあいそ」なんて言うのは野暮の中の野暮なのである。
お茶が欲しければ「お茶をください」、会計の時には「お勘定してください」、「お会計お願いします」、「ごちそうさまでした」のいずれかを言えばいいのである。
ちなみに私は「ごちそうさまでした」と言っている。 これがお会計のことだって推し量れない店はちょっと店として問題アリ、である。
ただし、これらの言葉は使うことが野暮だってことで、覚えておくことに越したことはない。

例えばもうひとつ、寿司屋には「ヤマ」とゆう符牒がある。
これは「山のてっぺんにはそこから先がない」とゆうシャレから来た物で「品切れ」の意味である。
これを覚えておくと大将と職人さんとの「サンマ?サンマはヤマなんだ」なんて会話が聞こえて来たら「あー、今日はもうサンマはないのね」なんて考えて、徒らにサンマを注文したりして職人さんの手を煩わすようなことがないようにする。
これこそがホントの粋である。
…ってなんでこんなに詳しいかとゆうと、これは25年ほど前にアルバイトをしていた寿司屋のオヤジさんの受け売りである。

私は当時高校1年生の文字通りの小僧っ子だったが、オヤジさんは独身で子どももいなかったせいか、60を過ぎていたはずなのに友だちのように接してくれて、いろんなことを教えてくれた。
賄いは自分でちらし寿司を作って、好きな具材は入れ放題。
バイトはシフトが決まっていなくて、曜日だけが決まっているので出勤は早くてもOK。
もちろん早く出ればその時間から時給をつけてくれる。
25年前でも650円と時給こそ安かったけれど、それを補って余りあるメリットがあった。
腕のいい職人なのにいろんな話を聞かせてくれる気さくなオヤジさんがいて、私は料理好きで、接客が好きで、お寿司が好きでってことで、今ならばそのまま居着いて寿司職人になっちゃおうかな、って勢いである。
…今であればね。

ところが、当時の私はガキだったので近所の友だちと遊ぶのが大好きだったし、バイトに行くのも出前の混雑する6時ちょっと前、とどうにも今から考えると文字通りのガキであり、1年も経たないうちにそのバイトを辞めてしまったのである。
ああ、ホントにもったいない。
今のままで、あの日に帰りたいぐらいだ。

何年か前に店の前を通ったら、すでに店はなかった。
オヤジさん、どうしてるかなぁ。
まだ健在かな?
もし健在ならもう90に近いかもしれない。

ただ残念なのは、信じがたいことに私はオヤジさんの苗字すら知らないのだ。
お店の名前しか知らない。
うーむ、困ったことだがそれが事実なのだ。
ご健在ならばどうかお元気でいてくれることを願ってやまない。

|

« ヤングチーム襲来!! | トップページ | 台風直撃の東京の長い一日。 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ザ・江戸っ子!:

« ヤングチーム襲来!! | トップページ | 台風直撃の東京の長い一日。 »