年末の31日には、iPod touchショックを抱えたまま、珍しく自宅で過ごしました。
そして、ほぼ初めてNHKの紅白歌合戦を見ました。
AKB48が出てましたね。
女房のお気に入りは宮澤佐江ちゃんとゆう子なのだそうです。
「さえちゃん、かわいい!」
え?どの子?
と、その場では分かるんですが、集団の中に入ってしまうとまたわかんなくなります。
ダメだな、あたしゃ。
一応パソコンでも見てみたんですが…。
おかしいなぁ…。
この子、見たことがある気がするんですが…。
どこで見たんだろう?
東京都出身だそうですが、世田谷の子かなぁ?
そして、もうひとつ楽しみにしていたこと。
それは植村花菜が歌う「トイレの神様」がフルコーラスで聞けること。
実はこの曲は、私がよく見ているTVKの「sakusaku」でやっていたので、存在自体はかなり早いうちから知っていました。
サビの「♪トイレにはそれはきれいな女神様がいるんやで〜」というのも聞いたことはあったのです。
タイトルも歌詞も変わってますからね。
でもフルコーラスは聞いたことがなかったのです。
私は、音楽が好きで歌うのも好きで、バンドやったりなんだかんだ音楽に関わってきました。
でも、人の作った歌詞で泣いたことなんかありません。
それどころか、「うまい歌詞だなぁ」とは思ったことはありますが、それでも泣くどころか、感動した記憶もありません。
男性と女性には感性の違いというのがあるらしく、男性は曲を最重視し、女性は歌詞を最重視する生き物なのだそうです。
女房は「とおちゃんは歌詞聞かないからね」と言います。
聞いてないワケじゃないんですけどね。
ところがです。
36年間生きてきて、この「トイレの神様」で、私は初めて曲を聴いて泣くという経験をしました。
おばあちゃん子にはこの曲はダメですね。
ドラえもんの「おばあちゃんの思い出」だって未だに読むたびに泣くぐらいですから。
正確に言うと思い出すだけで涙が出るんですけど。
あのマンガでおばあちゃんがのび太に言う「だれがのびちゃんのいうことをうたがうもんですか」っていう台詞で私の涙腺はギブアップします。
この曲を聴いても涙腺が大爆発しました。
むしろ、自分でこんなに泣くことに驚いたくらいです。
女房は「もう少し歌詞をひねったらいいのに」って言うけど、私にはこのくらいストレートな歌詞の方が心にまっすぐ届きます。
この方がいいです。
♪ちゃんと育ててくれたのに
恩返しもしていないのに
いい孫じゃなかったのに
まさに、私がおばあちゃんが亡くなったときに繰り返し自問自答した言葉です。
そして、この自問自答はあれから7年経っても続いています。
でも、私と同じことを感じていて、それを歌詞にしてくれる人がいるんですね。
「よくぞ言ってくれた!」と、まさにそんな感じです。
実は私もいろいろ事情があって、高校生の頃、おばあちゃんと一緒に住んでいました。
これもいろいろな事情があり、私立の高校に進んでしまったため、学費は自分でアルバイトして払っていました。
学費が滞るとおばあちゃんが出していてくれたと知ったのはずいぶん後のことです。
やがて、修学旅行の時期がやってきました。
費用は11万円。
毎月1万円の積み立てだったのですが、毎月の学費や交通費、それに昼食代やいろいろな教材費を払うと、とてもこのお金をまかなえるだけの余裕はありません。
私は、修学旅行は諦めていました。
修学旅行に行かなくても学校は卒業できるし、別に通知表に影響するワケじゃないし。
もちろん、この話はおばあちゃんにはできません。
ところが、この話はアッサリおばあちゃんにバレました。
うちに遊びに来た友だちが修学旅行の話をしちゃったのです。
別に私はおばあちゃんに隠したくて隠してたワケじゃないし、行かなくてもいいよ、別に、と話しました。
翌朝、学校に行く前におばあちゃんに呼び止められました。
手には、11万円の入った封筒が握られていました。
「修学旅行に行ってみんなと思い出を作っておいで」そう言って封筒を渡してくれました。
このために、お金を用意してくれたのです。
今でも11万円なんて大金ですが、20年前の11万円はもっと価値があったかもしれません。
もちろん我が家は金持ちでもなんでもありません。
でも、ありがたくこのお金を使わせてもらうことにし、私はみんなと修学旅行に行くことができました。
その時は、「修学旅行に行けてラッキー」ぐらいにしか思っていなかったのですが、じつはこの有り難みは卒業してからわかるのです。
卒業後、高校時代の友だちと話をするときに、修学旅行の話になっても私は参加することができるのです。
おばあちゃんが「思い出を作っておいで」って言ったのはこのことだったのです。
将来を見越して少ないお小遣いの中から修学旅行に行かせてくれたのです。
このことを思い出すたびに、20年前のことは本当にありがたく思うし、おかげで今でも思い出を温めることができるのです。
このことを思い出すと、今でもおばあちゃんに頭をこすりつけるくらい感謝しています。
ちなみに、このときに出したもらったお金は結局返すことができず、おばあちゃんは天国に旅立ちました。
「トイレの神様」は私とおばあちゃんの思い出に輝きを与えてくれるようです。
この曲は大事にしたいですね。
久しぶりにそう思える曲に出会えました。
でもしばらく人前では聞けませんね。
泣いちゃうから。
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